今を生きるために、何が必要か?

ワクチン接種を受ける女性
ワクチン接種を受ける女性

新型コロナウィルス感染が始まって3年目に入った今年には、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は終わるだろうと期待したのだが、残念ながら、変異ウイルス「オミクロン型」の出現で、その可能性はなくなったと言える。

免疫をすり抜ける力をつけたオミクロン型によって、社会が「集団免疫」を獲得するという構想はもろくも崩れてしまった。

ワクチン接種をすれば、個人の感染対策が万全となるわけではない。ワクチンは数か月でその効力が減少してしまう。ワクチンが万能ではないことは明らかだ。

感染しても自宅療養せざるを得ない医療のひっ迫状況がまたも生じている。個人としてやれることは、ワクチン接種に加えてマスクの着用、手洗い・うがいの励行、3密を避けるべく外出を自粛する等の自己防衛策が依然として重要だ。

世界のどこかで大きな流行が発生する状況が、当分繰り返されていくであろう。このような状態があと何年続いていくのだろうか?

日本はコロナの感染者が増え、医療がひっ迫するたびに、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を繰り返してきた。しかし、これまで取られてきた感染症対策や要支援者への対応は、満足できるものとは言えない。

また多額の財政出動も行っているが、国内総生産(GDP)はコロナ前の水準にまで回復するに至っていない。
これは、他の先進国が回復しているのに比べて、日本が潜在成長力を失っていることを意味する。

原油高などによる物価の上昇や金利の世界的な上昇、ロシアとウクライナとの戦争の勃発や北朝鮮のミサイル発射、米中二大国の対立・いがみ合いといった地政学リスクなど、世界情勢は日々変化してきている。

私どもの生活や経済社会活動が今後さらに落ち込んでいかないように、政府の機敏・適切な対応が求められる。

日本経済新聞2月10日付夕刊は、徳島大学が行なった新型コロナウイルス禍による自粛生活が人々に与えた心理的影響に関する調査結果を次のように報じた:「緊急事態宣言の発令が回数を増すごとにストレス状態にある人は減少する一方、社会的な孤立状態に追い詰められたと推定される人は増加した」。

徳島大山本准教授は「自粛生活は人々の社会的孤立を助長する恐れがある。非正規雇用が多いなどで若者や女性は影響を受けやすく、特に心のケアが必要だ」と指摘する。

私どもはどのように対処したらよいのだろうか?

コロナ禍で私どもの生活や働き方は一変してしまった。デジタル化、地球環境の変化に対応する脱炭素化、電気自動車に代表される技術革新、AIやロボット化、在宅リモート勤務、転職・副業・兼業による労働力の流動化、医療や教育面のデジタル化等・・・私どもは大きな新たな変化に順応して、環境に従順に前向きにかつ主体的に明るく生きていく必要があることを痛切に感じる。

特に変化のスピードに追い付いていないデジタル化の遅れについては、私ども各人が必要な知識、技術を学ぶことに積極的に取り組んでいくべきである。パソコンやタブレット端末を1人1台ずつ持たせる「GIGAスクール」構想は、教える立場の先生方のICT(情報通信技術)が低くて実施がスムーズに進展していない。

持て余す端末を返したいとの声が出ている現状は誠に情けない。将来の日本を担う子供たちへの教育こそ最優先課題として強化し、教員のレベルアップ、必要な人材の育成・確保を行っていただきたい。

変化・改革を行うことに慎重すぎる日本の古い体質から脱皮し、日本国民各人は変革への果敢な挑戦を行っていきたいと愚考する。

さもないと、私どもが生きている少子高齢化、人生100年時代を生き抜いていくことは難しいであろう。

 

日本の医療体制と機敏な統治

高齢者女性に話しかける男性スタッフ

 

新型コロナウイルスの2月6日の新規感染者は全国で約8万9000人で、6日連続で8万人超となった。東京都は日曜日としては最多の1万7526人で、大阪府も1万3325人に上った。感染拡大に歯止めがかからない状況が続いている。

コロナ禍で既に2年もたつが、医療体制は一向に改善されず、入院もできずに自宅療養するしかない感染者が増加している。コロナ危機にきちんと対応できない情けない現状は、なんとかしなければならないと考える。

医院のほとんどを占める小規模経営の医院は「医は仁術」ならぬ「医は算術」に走り、他人を思いやる利他のココロ・精神が忘れられていて、誉められない有様と思えてならない。

コロナ医療体制、社会保障制度改革など直ぐにも取り組まねばならぬ重要な課題は山積している。

この国の弱点である「決められない」「先延ばしにする」体質を危機の今こそ改めて、真剣に取り組む必要があると愚考する。

スピード感にかける政治・行政に対する改善策としては、日本経済新聞2月1日電子版に紹介されている台湾やインドにおけるアジャイルガバナンス(機敏な統治)の事例が大いに参考になると思う。

台湾では行政院のサイト「公共政策オンライン参加」を通じて年齢に関係なく市民が独自の政策アイデアを投稿できる。5000人の賛同を得た提案は省庁の会議で実際に議論され、これまでに治験ルールの緩和によるがん免疫療法の新薬早期投与などを実現した。

ITを駆使したアジャイルガバナンスの仕組みは迅速で無駄を省いた執行にも効果を発揮した。インド政府は新型コロナウイルス対策の大規模都市封鎖に踏み切った20年春、わずか1カ月足らずで1.6億人以上を対象に3665億ルピー(約5600億円)の直接現金給付を実現した。

給付のプラットフォームとなったのはインド版マイナンバー制度「アーダール」。個人情報の流出トラブルなどを起こしながらも機能の追加・改善や法整備を続けた約10年の努力が実を結んだ。

引用元:日本経済新聞2月1日電子版

政府と市民の連携や意思疎通を通じて、迅速に民意を吸い上げ実行することこそ、危機に瀕する日本の現状に活路を与えると考える。日本政府・関係省庁は是非ともITを駆使して迅速な政策実行がなされるよう知恵を出してもらいたい。

ウイルスについて学ぼう

ウイルス

現在、新型コロナウイルスの感染拡大が始まって3年目を迎える。

また新たなタイプのウイルス、「オミクロン型」が国内でも出てきて、そのワクチン接種等感染予防対策が進められている。

そもそもウィルスとは何なのか? 新型コロナの感染拡大はいつまで続くのか? どのような感染予防対策が効果があるのか?等々改めて調べてみた。

 

ウイルスとは何なのか?

細胞という固まりがなく、自分で仕事ができないという意味では、生物とは呼べない。
ただし、自分自身を複製するための情報は持っている。つまり、細胞ではない袋のなかに、自分自身と同じものをつくるための遺伝情報が、アデニン、グアニン、シトシン、チミン(AGCT)の記号で書かれている。

ウイルスと生物の違い

生物は細胞のなかに酵素や ATP (アデノシン三リン酸)などの分子をたくさん持っている。自らを複製するための遺伝情報に加えて、工場の仕組みや材料のようなものを持っていて、エネルギーを生み出している。
そして、細胞が自分自身の遺伝情報を複製して、自分のものと同様の細胞をもう一つつくって、分裂していくという過程を取る。

ところが、ウイルスはそうした細胞を持っていない。ただ袋のなかに複製するための遺伝情報が入っているだけで、自分を複製しようとした場合、ほかの生物の細胞のなかに入り込み、その細胞の力を搾取しなければ、増えていくことができない。

遺伝情報しか持たないウイルスの構造

ウイルスは非常に小さく、普通の細胞の 100 分の 1 から 1000 分の 1 程度である。
具体的な大きさは、数十ナノメートルから数百ナノメートル程度である。

構造としては、遺伝情報が書かれた部分の外側を殻が覆っている。AGCT で書かれた遺伝情報がむき出しだと壊れてしまうので、「カプシド」というタンパク質の殻で覆われている。
つまり、遺伝情報とタンパク質の殻だけしかないのが基本的構造である。

その外側にもう一つ「エンベロープ」と呼ばれる別の袋で覆われている構造のものもある。
エンベロープは脂質で構成されている。

つまり、タンパク質で囲まれたものと、その上にエンベロープという脂質の殻で覆われているものの2種類がある。

重要な点は、ウイルスの遺伝情報は、DNAであるか RNAであるかのどちらかしかないことである。

普通の生物は、DNA と仕事をする RNAの両方を持っている。DNA から RNA を生成して自分自身のタンパク質を合成する。
DNA は AGCT の配列が二重らせん構造になっていて、そこに遺伝情報が書かれている。それを一重にほぐして、意味のあるほうの鎖から RNA ができ、そして RNA からタンパク質ができる。

ウイルスが取り付く生物や部位は限定的

ウイルスは複製だけができる非常に単純なものである。
複製するためには他に取り付く必要があり、ある生物に取り付くことで、その仕組みを利用して自分を複製させる。

どの生物に取り付くのかという点は、非常に限られている。
そのため、ヒトに感染するウイルスとそうでないウイルスが存在したり、トリに感染していたものがヒトに感染するようになったりなど、さまざまなウイルスがあり、どの生物を利用できるかは非常に限られている。

それぞれの生物の細胞の表面には、タンパク質や分子の突起が存在する。ウイルスの側にも突起があり、その両方の突起が合致するものしか取り付くことができない。

生物ごとに細胞の表面にある分子の突起が異なるので、全ての細胞に対応できるウイルスは存在しない。したがって、取り付くことができるのは、ある特定の生物のある特定の細胞ということになる。

地球上の生物のほとんど全てがウイルスにたかられている

ウイルスの起源に関しては、よく分かっていない。しかし、植物でも動物でも菌類でも、生物の何もかもがウイルスにたかられている。

このように、ウイルスはありとあらゆる生物を標的としていて、その細胞機能を搾取して自分を増やしていくが、個々のウイルスが取り付く相手は非常に限定されている。

新型コロナウイルス市中感染
新型コロナ市中感染防止

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)

「COVID-19」という病気を引き起こす病原体の名称は「SARS-CoV-2」であるが、日本ではもっぱら病気の名前は「新型コロナウイルス感染症」、病原体の名称は「新型コロナウイルス」と呼ばれている。

SARS-CoV-2は2019年に中国武漢市で発見され、全世界に感染拡大した。
ウイルスの遺伝子配列からコウモリのコロナウイルスを祖先にもつと考えられるが、一部の配列がセンザンコウのコロナウイルスと似ているという報告があり、過去に2種類の動物コロナウイルスが遺伝子組み換えを起こした可能性が考えられる。

実際にどのような経緯でこのウイルスが人類に感染するようになったのかは明らかになっていない。

2022年1月5日現在、世界で感染が確認された人は2億9千万人、死亡者は544万人であり、以前のSARSやMERSとは伝播性と病原性において明らかに異なるウイルスであるといえる。

ヒトからヒトへの伝播は咳や飛沫を介して起こり、特に、密閉・密集・密接(三密)の空間での感染拡大が頻繁に確認されている。

従って、感染防止対策としては、マスクの着用、三密を避けること、外出を控えること、手洗い・うがいの励行が必要である。

高齢者や心臓病、糖尿病等の基礎疾患を前もって患っていた人では、重症の肺炎を引き起こすことが多いが、20歳から50歳代の人でも呼吸器症状、高熱、下痢、味覚障害等、様々な症状が見られる。

一方、健康な人での重症例や死亡例も稀にではあるが確認されている。

子供への感染も頻繁に確認されるが、軽症もしくは不顕性であり、子供を介した高齢者への伝播が問題視されている。

有効性の高いワクチンが次々と開発され、前例のないスピードで人への接種が実現したが、その中でも新しい技術で作られたmRNAワクチンの普及が急速に実現したことは、人類の感染症対策における大きな前進といえる。

今後このウイルスは人類に定着して蔓延していくが、他の4種類の風邪のコロロナウイルスと同様に、人類と新型コロナウイルスが共存できるようになるためには、人類の方でワクチン接種率を高め、ウイルスに対する抵抗力をもった集団を作っていく必要がある。

情報元: 感染症疫学センター

情報元: 10MTVオピニオン